雀鬼・桜井章一の世界
雀鬼&真・雀鬼全作品
雀聖・阿佐田哲也の世界
雀流烈風ストア
麻雀のプロには表プロと裏プロとがある。表プロは麻雀ジャーナリズムの中で世間に名を出し、名誉を重んずる。誌上プロ、競技(トーナメント)プロと呼ばれている。それに対して、誌上やイベントに顔を出さず店の組織にも属さないプロの雀士が裏プロである。裏プロは力を重んじ、裏の世界で隠然たる力を競う。 裏プロには大きく分けて二つの段階がある。一つは、雀荘などの素人を食い物にして金を稼ぐ、いわゆる雀クマ(クマ師)たち。もう一つ上の段階の裏プロに、代打ちを務める桜井章一のような実力者たちがいる。代打ちは、大きな組織とか会社とかが、多額の金銭なり権利なりを賭けて争う勝負に、文字通り代わりに麻雀を打つプロたちである。そのほとんどが、技術を買われて麻雀を打つ一匹狼であり、会社や組織に属しているわけではない。 桜井章一は、日本で指折りの、トップクラスの代打ちの一人であった。代打ち同士の勝ち負けは、時によっては死を意味することさえある。勿論、負けが込めば相場落ちで、雀クマに転落する。それゆえ裏プロ同士の対決では、絶えず死闘が繰り広げられ、時には激しい裏技の応酬となって火花を散らしたのである。